司法権のあらまし

司法権の概念については固定的なものでなく権力分立の歴史的展開とともに内容が変化しており、その歴史の流れは大きく3つに分けることができます。まず初期の王権政治下では裁判は「統治権力者の意思を語る口」として王による政治権力の具体的な行使でした。次に17世紀なるとこの神授的王権に対抗するため機関としての議会がまず王から立法権を奪取し、そしてこれから立法権能と裁判権能とが分かれて担当機関の分化がされています。18世紀には大陸諸国に於いて権力分立が完成されたことにより司法の独立が確保されるに至り、脱政治機関化が顕著となります。そしてこの脱政治機関化はフランスやドイツなどの大陸法系に於ける形式的法治主義思想下でのものと英米法系に於ける法の支配思想下でのものとでその方向性が分かれます。形式的法治主義下では立法権優位の三権分立体制であったことから司法は形式的に捉えられモンテスキューの言葉通り裁判官は「法を語る口」として法律を単純且つ機械的に適用するべきものとされており、その為裁判所では専ら法の宣言と適用が問題とされていました。一方で法の支配思想下では三権対等の権力分立体制が取られたことから裁判所は法の支配を実現し維持する機関として位置づけされ、裁判の意味も法の支配を実現する作用として広く解されています。このことから裁判所は議会同様に法創造機能や法形成機能も有するとされています。